皆さんは静電気を見たことがあるでしょうか?静電気は目に見えないもの。でも握手をしたときに「パチッ!」、ドアノブを触って「パチッ!」なんて経験は皆さんありますね。
三協シール印刷株式会社にとってこの静電気は大きな敵。印刷、加工を行う上で大きな障害になります。ホコリを呼び寄せるだけでなく、印刷や加工の精度を落とし、場合によっては電子機器に影響を与えて機械のプログラムを破壊することもあります。その静電気ををできるだけ避けるための対策に、工場全体で取り組んでいます。



静電気とは物体に電荷が蓄えられている状態、またはその電荷そのものをいいます。どうすれば電荷が蓄えられるのか。粘着製品を印刷・加工工程や検査工程で扱う弊社では、摩擦や剥離によって発生することが分かっています。しかし摩擦や剥離をさせないわけにはいきません。そこでその発生を極力抑える対策をとることを主眼に置いて活動しています。


 帯電防止素材



印刷、加工に用いる素材を、帯電防止処理が施された素材を使用することで、そもそも印刷、加工、検査中に静電気を発生させにくくする場合があります。また包装材などにも帯電防止処理が施されたものを使用することで、包装作業中や、お客様への搬送途中にも帯電させないようにする場合があります。ただし素材選択上の制限が加わってしまうことや、価格に影響することが考えられますので、一部の製品に限られます。

 帯電防止ワックス(床用)







作業員の歩行などにより、床面では静電気が発生します。それがホコリを引き寄せ、製品へ付着させる可能性があります。そこで帯電防止が必要とされる床面には、帯電防止ワックスを使用しています。しかも帯電防止剤入りのワックスではなく、主成分に導電性ポリマーを使用したワックスで、導電性フィルム層が厚く、耐擦性があり、歩行や台車の移動、清掃時の擦れなどに対して非常に強くなっており、帯電防止効果に長期持続性があります。

 除電



除電に関する機器、製品は数多く存在します。やはりそれだけ静電気で悩まれている方が多いということの表れでもあると言えるでしょう。

静電気除去装置は、高電圧コロナ放電により静電気を除去する方式のものを使用しています。印刷、加工工程の中でも特に静電気の発生が強い場所に向けて装置を配置し作動させます。

除電織布は導電性放電素子入織布で、織布構造内では静電気は発生せず、帯電もしません。また近接の静電気を除去する能力も持っていて、ピンポイントで除電を行うことができるため、機械の中の材料の通り道や、接触するローラーなどに装着して使用します。


 加湿



加湿は静電気対策の基本であり、最も重要な対策のひとつでもあります。相対湿度が35%を下回ると静電気が発生しやすくなるといいます。相対湿度とは、空気が結露せずに含むことができる水蒸気量を1として、それに対する実際の水蒸気量を割合で示したものです。空気が結露せずに含むことができる水蒸気量は温度によって変わります。温度が高ければその量は増え、温度が低ければその量は減ります。実際に湿度計によって表示される湿度も大切ですが、温度をある程度高めて実質的に含有することができる水蒸気量の幅を広げ、そのうえで湿度管理することが大切です。
弊社では霧噴霧式加湿器と、滴下気化式加湿器を、設置する場所によって使い分け、作業現場によって最適な加湿方式で静電気の発生を抑制しています。

霧噴霧式加湿器は、圧縮空気と水道水をノズルから噴射して霧状にし、加湿する方式です。弊社で使用するノズルは、さらにその霧と霧をぶつけてより細かな粒子にして飛ばす、ドライミストと呼ばれるものにしています。これは霧の粒子が非常に細かいため、ノズルの近くに手をかざしても手が濡れることがないために「ドライ」と呼ばれています。細かな霧となって室内に噴射されるため、帯電防止に即効性を持ちます。またドライであるがため、金属製の機械に錆などの影響を及ぼしませんし、純水装置を通した水道水を使用していますので、製品などへのカルキの影響もありません。加湿能力が高く、加湿の立ち上がりも早いため、空気の循環が多い印刷の現場でも常に安定した加湿を行うことができます。ただし、ノズルから噴射する際の音が大きいため、稼働中の印刷・加工現場でのみの使用となっています。

滴下気化式加湿器はフィルターに水を滴らせ、そのフィルターに送風することで水分を気化させる方式をとっています。こちらもカルキなどの影響はありませんが、加湿の立ち上がりや細かな湿度管理には向きません。ただし作動音がほとんどしませんので、静かな環境で集中した作業を必要とし、かつ空気の循環が少ない検査室で使用しています。



三協シール印刷株式会社では、これらの対策をもとに、見えない敵「静電気」と戦っています。

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